帰国とその後

本帰国の家計、何から見積もる?手取りが「2段階」で下がる仕組みと項目リスト

本帰国の家計、何から見積もる?パスポートと搭乗券を持って空港に立つ女性のイラスト

夫に本帰国の辞令が出たとき、真っ先に思ったのは、お金のことではありませんでした。

下の子は、あと半年で小学校を卒業します。

このタイミングで帰るのは、子どもがかわいそうだ。 それが最初でした。

お金の心配は、そのあとに来ました。

  • 手当がなくなる。収入が減る
  • 家賃の負担が増える
  • 地方だから、車を買わないといけない
  • 家具も家電も、全部処分してきた

すごくお金がかかる。

ですが、卒業まで残れるのなら、いまより自己負担が増えても仕方ない。 と今は思っています。

家計のことを書いているブログですが、お金がいちばんではない場面があります。

そのうえで、もうひとつ正直に書きます。

わたしはまだ、何ひとつ見積もれていません。

理由は単純で、帰る時期が決まっていないからです。夫と一緒に帰るのか、子どもの卒業まで母子だけ残ってから帰るのか。いまも交渉している最中です。

パンダ(困って質問)

それなのに、記事にするの?

はい。同じように困っている方がいると思うからです。

「帰国後の家計」を書いた記事は、すでにいくつかあります。でも、そのほとんどが「手取りは2〜3割減ると想定しましょう」で終わっています。割合だけ言われても、具体的なことは何もわかりません。

だからこの記事は、これから見積もる人のための項目リストにしました。わたし自身が、これから使うものです。

この記事でわかることは、次の3つです。

  • 帰国は、赴任と何が違うのか
  • 手取りが下がるときの「時間差」
  • 見積もる項目のリスト

2026年9月時点の情報です。実額は、帰国したあとに追記します。

お金の心配は、あとから来ました

子どものことがいったん落ち着いてから、お金のことを考えはじめました。

そこで感じたのは、減る収入と増える支出が、同時に来るということです。

ひとつずつ書きます。

まず、手当がなくなります。 海外勤務手当も、ハードシップ手当も、帰国すればゼロになります。住居費や学費の会社負担もなくなります。

家賃の負担が増えます。 前に日本で住んでいたころより、子どもが大きくなりました。3LDKは必要だと思っています。当然、家賃は上がります。

車が必要になります。 帰る先は地方なので、車がないと生活が回りません。

家具も家電もありません。 赴任のときに、全部処分してきました。一から揃えることになります。

並べてみると、入るお金が減るのと同じタイミングで、出ていくお金が増えます。

パンダ(びっくり)

同時に来るのはきついね……

そうなんです。ここが、帰国のいちばんの特徴だと思います。

帰国は、赴任の「逆回し」ではありませんでした

これは、調べているうちに気づいたことです。

帰国は、赴任を巻き戻すことではありません。 やることの中身が、まったく違います。

赴任のとき 帰国のとき
ものの動き 処分して減らす ゼロから揃える
住まい 自分で探し会社が契約する 自分で探して契約する
家具・家電 現地にそろっていた 一からそろえる
準備期間 わたしの場合は約1年 圧倒的に足りない

赴任のときは、減らす作業でした。売って、捨てて、身軽になって出ていきました。行った先には、家具家電、食器まで生活に必要なものが全てそろっていました。

帰国は、その逆です。何もないところに、全部そろえていきます。

しかも、時間が足りません。

赴任のときは1年ありました。今回は、期間が短いです。

やることは帰国のほうが多いのに、使える時間は短い。 これが、いちばん大きな違いでした。

赴任のときのことは、別の記事に書きました。読み比べると、違いが分かると思います。

海外赴任が決まったら家計はどう変わる?1年かけて準備して、それでも忘れた1つのこと

手取りは「2段階」で下がります

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

帰国して手取りが下がるとき、それは一度に来ません。 住民税の仕組みにより、時間差がでやって来ます。

時期 住民税 手取りの見え方
帰国した年 ゼロ 手当は消えるが、税は軽い
翌年6月〜 前年の国内所得分だけ まだ軽い
その翌年6月〜 丸1年分 ここが本当の水準

そもそも住民税には、2つの決まりがあります(神戸市品川区)。

  • その年の1月1日に、日本に住所がある人にかかる
  • 金額は、前の年の所得で決まる

この2つから、帰国後はこうなります。

帰国した年は、住民税がかかりません。 その年の1月1日には、まだ海外にいるからです。

翌年の6月から、住民税の支払いが始まります。 ただし対象になるのは、前の年の日本国内での所得だけです。8月に帰国したなら、8月から12月までの数か月分。まだ金額は小さくて済みます。

本番は、その翌年の6月からです。 ここで初めて、丸1年分の所得が対象になります。

つまり、こういうことが起きます。

帰国してすぐの手取りは、本当の水準より多く見えます。

手当は消えているので「減ったな」とは感じます。でも税が軽い分、思ったほどではないと感じるかもしれません。そして1〜2年かけて、じわじわ手取り額が下がっていきます。

パンダ(なるほど)

そこで生活のレベルを決めちゃうと危ないんだ

そういうことだと思います。

赴任前の記事に、こう書きました。

手当には期限がありますが、生活レベルには期限がありません。

帰国後も同じでした。 わたしはこれを知って、生活の基準を決めるのを急がないでおこうと思いました。

自治体のホームページには「出国するとき」の説明はありますが、「帰国したあと」の説明はあまり見当たりませんでした。上に書いたのは、2つの決まりから導かれる一般的な流れです。細かい扱いは自治体で違うことがあるので、お住まいになる予定の市区町村で確認してください。

見積もる項目のリスト

金額は、家庭によってまったく違います。だから、項目と確認先だけ置いておきます。

このまま書き写して使ってください。わたしもこれから、この順番で埋めていきます。

項目 見るところ・確認先
手当がなくなる分 給与明細で、手当の内訳を確認する
配偶者の収入 帰国後に働くか。いつから
賃貸の初期費用 家賃の4.5〜5.5か月分が相場
借り上げ社宅にできるか 会社に聞く。 契約のしかたで負担が変わる
購入費と維持費。自転車や電動バイクという手も
家具・家電 何を残し、何を処分したかで変わる
学費 公立か私立か。塾は
引越し 会社負担の範囲を確認する
一時的な住まい 帰国してから入居までの間

いくつか補足します。

賃貸の初期費用は、家賃の4.5〜5.5か月分が目安です(賃貸スタイル)。敷金・礼金・仲介手数料・前家賃・火災保険・保証会社の費用・鍵交換で、これくらいになります。家賃15万円なら、70万円前後です。

借り上げ社宅にできるかは、聞いてみる価値があります。

なぜ借り上げ社宅のほうがいいのか

同じ「会社が家賃を負担してくれる」でも、方法が2つあり、手取りが変わります。

方法 税金の扱い
住宅手当として現金でもらう 給与になります。 所得税・住民税・社会保険料がかかります
借り上げ社宅(会社が契約し、自分は一部を負担) 条件を満たせば、給与として課税されません

住宅手当は、給与に上乗せされて振り込まれます。ありがたいのですが、その分だけ税金と社会保険料が増えます。 額面で10万円もらっても、手元に残るのは10万円ではありません。

借り上げ社宅は、会社が大家さんと契約します。自分は決められた額を給料から引かれるだけです。会社が負担している差額は、条件を満たせば給与として扱われません国税庁)。

条件は「賃貸料相当額の50%以上を本人が負担していること」です。賃貸料相当額は、家賃そのものではなく、固定資産税の課税標準額などから計算します。

細かい計算は会社がやってくれます。わたしたちが知っておくべきなのは、「同じ金額でも、受け取り方で手取りが変わる」ということだけです。

だから、契約の仕方を聞く価値があります。

そして正直に書くと、わたしはまだ確認できていません。 帰国の準備にかかる手当があるのかどうかも、まだ聞けていない状態です。交渉中で、そこまで話が進んでいないからです。

だからこそ、この記事の最後に書く「会社の規程を取り寄せる」が、わたし自身の宿題でもあります。

車は、1台は必要だと思っています。あわせて、自転車と電動バイクも検討しています。地域によっては、車を2台持つより現実的かもしれません。

戻ってくるお金と、期限のある手続き

帰国すると、止まっていたものが戻ります。 ただし、自動ではありません。

児童手当には、15日の期限があります

児童手当は、手続きをしないと再開しません。

しかも期限があります。転入した日の翌日から15日以内に「認定請求」を出す必要があります(こども家庭庁目黒区)。

15日を過ぎても申請はできます。でもその場合、支給が始まるのは申請した月の翌月からになります。

1か月分、もらい損ねることになります。

子ども2人なら、月2万円です。引越しで忙しい時期ですが、ここは優先度が高いと思っています。

NISAは「帰国届出書」を出さないと、口座がなくなります

海外赴任の前に、NISA口座を残す手続きをした方は、帰国後にもう一度、手続きが必要です。

出す書類は「非課税口座帰国届出書」です。証券会社に提出します。

期限があります。出国前に出した「非課税口座継続適用届出書」の提出日から、5年を経過する日の属する年の12月31日までです。

この期限までに帰国届出書を出さないと、NISA口座は廃止されます。中にある投資信託や株は、課税される一般口座へ移されます(みずほ証券)。

それから、もうひとつ。出国している間は、NISA口座で新しく買うことはできません。帰国届出書を出して、はじめて買付が再開できます。

出国前にきちんと手続きをした人ほど、ここを忘れると惜しいことになります。せっかく残した口座が、なくなってしまうからです。

出国前の手続きについては、別の記事にまとめました。

海外赴任でNISAはどうなる?「解約するしかない」はもう古い情報です

領事館への「帰国届」も忘れずに

海外に3か月以上住むときに出した「在留届」は、帰るときに取り下げます。「帰国届」です。

オンラインの在留届(ORRnet)で出した方は、同じサイトから帰国届も出せます。紙の書類は要りません。

出すのは、その土地を離れる前です。古い情報が残っていると、災害や事件が起きたときに、本当に助けが必要な人への連絡が遅れてしまうからです(外務省 オンライン在留届)。

マイナンバーカードは、いま作るか迷っています

わたしがいま迷っているのが、これです。

海外に転出したとき、マイナンバーカードは失効しました。わたしたちは、いま持っていません。

帰国後は、転入の手続きも、病院にかかるときも、マイナンバーカードがあるほうがスムーズです。だから作りたい。でも、間に合うかどうかが問題でした。

調べたら、こうでした。

  • 2024年5月27日から、海外に住んでいる人もマイナンバーカードを申請できるようになりました
  • 2026年5月26日からは、申請が全面的にオンラインになりました
  • ただし、申請から受け取りの準備ができるまで、おおむね2か月かかります(マイナンバーカード総合サイト

受け取りまで2か月です。帰国までの日数によっては、現地で受け取るのは間に合いません。

ただ、ひとつ手がありそうです。受け取り場所は、在外公館のほかに「日本の市区町村」も選べます。本籍地でなくても大丈夫です。先に申請だけしておいて、帰国後に日本で受け取る、という形にできそうです。

ただし、帰国して住民票が戻ったあとの扱いまでは、確認が取れていません。ここはマイナンバーカード総合サイトに問い合わせ中です。回答が届いたら、この記事に追記します。

海外転出でカードが失効した方は、早めに動いたほうがよさそうです。2か月という数字を知っているかどうかで、帰国直後の手続きのスピードが変わります。

そのほかに戻るもの

  • 住宅ローン控除の再適用(出国前に届出を出していた場合)
  • 健康保険・年金の切り替え

赴任前に「何が消えるか」を自分で調べました。戻すときも、自分で調べるしかありません。

いちばん困っているのは、帰る時期が決まらないことです

最後に、いまの正直なところを書きます。

わたしが見積もれていない理由は、時期が決まらないからです。

  • 夫と一緒に帰るのか
  • 子どもの卒業まで、母子だけ残ってから帰るのか

これが決まりません。いまも交渉中です。

住む場所は夫の勤務地になると思います。実家のある地方へ母子だけで帰る、という選択肢もありました。

でも、選びませんでした。

子どもと一緒に住めるうちは、家族全員で過ごしたい。 わたしも子どもも、そう思っているからです。

時期が決まらないと、住まいも、学校も、見積もりも動かせません。動きたいのに動けないのでもどかしいです。

それでも、いまできること

待っているだけでは、決まった瞬間に間に合いません。決まる前にできることを書き出しました。

  • 項目だけ先に洗い出す(この記事のリストです)
  • 会社の規程を取り寄せる(借り上げ社宅、引越し費用、帰任のときの手当)
  • 相場だけ調べておく(家賃、車、家電一式)
  • 決まった瞬間に動けるようにしておく

とくに会社の規程は、時期が決まっていなくても、いま取り寄せられます。これだけで、見積もりの半分は埋まります。

帰る時期については、子どもの進路の面でも大きな判断になります。そちらは別の記事に書きました。

帰国子女の高校受験は「帰る時期」と「帰る場所」で変わります

まとめ

3つにまとめます。

  1. 帰国は、赴任の逆回しではありません。 ゼロから揃えることになるので、やることは多いのに、時間は短いです
  2. 手取りは2段階で下がります。 帰国してすぐは税が軽く、本当の水準より多く見えます。生活の基準を決めるのは、急がないほうが安全です
  3. 時期が決まらなくても、できることがあります。 項目の洗い出しと、会社の規程の取り寄せは、いますぐできます

まずやってほしいのは、会社の規程を取り寄せることです。

借り上げ社宅にできるか、引越し費用はどこまで出るか、帰任の手当はあるか。この3つが分かるだけで、見積もりはかなり進みます。

わたしも、これから同じことをします。実額が出たら、この記事に追記します。


帰国後の家計、一緒に整理しませんか

「手当がなくなったあと、生活費をいくらに設定すればいいか」

「帰国してすぐは、どこまでお金を使っていいのか」

こういうことは、一般論では答えが出ません。ご家庭の数字と、帰るタイミングを見ないと決められないからです。

わたしは同じ立場で駐在に帯同し、いままさに帰国と向き合っているFPです。制度の面からも、実際の暮らしからも、お話しできることがあると思います。

初回のご相談は5,000円です。お問い合わせの時点では費用は発生しません。記事の感想やご質問だけでも大丈夫です。

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※本記事は2026年9月時点の情報をもとにしています。税や手当の制度は改正されます。住民税の扱いは自治体によって違いがありますので、実際のご判断の前に、お住まいになる予定の市区町村や、勤務先でご確認ください。

※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の購入を勧めるものではありません。最終的なご判断はご自身の責任でお願いします。

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かなママ
かなママです。夫と、中学生・小学生の子ども2人の4人家族。 夫の転勤で海外に帯同中です。本帰国の辞令が出て、いま「いつ帰るか」を家族で考えているところです。 大学の法学部在学中に行政書士試験に合格し、ロースクールを卒業。その後、約11年間公務員として働きましたが、体調を崩したことをきっかけに退職しました。海外にいながら日本の仕事をする働き方も、実際に試しています。 家計管理歴14年、資産運用歴7年。FP2級・簿記検定3級を取得しています。リベシティセミナーの講師実績もあります。 赴任前の準備、駐在中のNISAや年金、帰国後の家計の立て直し。自分が実際に迷ったことを、実体験と実額で書いています。家計のご相談も受けつけています。