駐在に来ると、時間ができます。
「せっかく海外にいるのだから、語学を」と思ってアプリを入れる。でも、そこで止まっている。
そういう方に届けばと思って書いています。
わたしがアプリを入れたのは、「夫が中国赴任になるかもしれない」という話が出たときでした。まだ何も決まっていない段階です。
そのアプリは、いまも続いています。1550日、約4年3か月になりました。
大学に通ったのは2年ほど前なので、そのときは820日ほどでした。2年3か月ぶんの積み重ねです。
それでも、語学学校を通らずに、いきなり現地の大学で学ぶことができました。
ただ、正直に書きます。アプリだけでは足りないものもありました。
そう思いますよね。わたしも最初はそう考えました。
でも調べていくうちに、もうひとつの選択肢があることを知りました。現地の大学の語学コースです。
そして学費を時間で割って比べたら、思っていたのとまったく違う数字が出てきました。
この記事でわかることは、次の3つです。
- アプリは、どこまで連れて行ってくれるのか
- 語学学校と大学を時間単価で比べると、どうなるか
- お金では測れなかったもの
2026年9月時点の情報です。
アプリの820日が、いきなり大学に入れてくれました
まず、アプリを続けてよかったと心から思っています。
いちばんの価値は、習慣になることです。5分でも触れば、その日はゼロになりません。忙しい日でも「今日は何もしなかった」と落ち込まずに済みます。
そしてもうひとつ。赴任が決まる前から始められます。 お金もかかりません。
わたしは「行くかもしれない」という段階で始めました。この助走が、あとで効いてきます。
クラス分けは、9段階の下から3番目でした
クラス分けの試験は、申し込みのときにネットで受けます。 大学に行く前に、自宅で済みました。
わたしはアプリの知識だけで受けました。 結果は、9段階あるうちの下から3番目のクラスでした。
結果が分かるのは、入学前のオリエンテーションです。そこでクラスが発表されて、教科書が配られました。
この数字だけだと、ピンとこないかもしれません。まわりと比べると、意味が見えてきます。
- 現地に来て半年ほどで、語学学校に通ったことがない人は、いちばん下のクラスになることが多いです
- わたしのまわりは、大学に来る前に語学学校で学んできた人が多くいました
- 交換留学の前に、自分の国の大学で中国語を学んできた学生もいます
そういう人たちがいるなかで、下から3番目でした。そして授業にはついていけました。
820日の積み重ねは、無駄ではなかったということです。
はい。ですから「アプリでは意味がない」とは、まったく思っていません。
それでも、足りなかったものがあります
念のため書いておくと、アプリを卒業したわけでもありません。
わたしが使っているアプリの中国語コースは、いまも進化しています。セクションは8まで増えました。わたしはまだセクション4です。
まだまだ学び続ける意味があると思っています。
このアプリについては、以前に別の記事で書きました。
→ 【無料】語学アプリDuolingoを1550日続けた結果|メリット3点とその後
では、何が足りなかったのか。知識ではありませんでした。
- 話す相手がいない。 アプリは一人で完結します
- 間違いを直してくれる人がいない
- 締切がない。 やらなくても、誰も困りません
つまり足りなかったのは、使う場と、身についていく環境でした。
だから場所を変えることにしました。
語学学校と大学を、時間単価で比べました
ここからが、この記事でいちばん書きたかったところです。
わたしは家計を見るのが仕事なので、迷ったときは単価に直して比べます。 語学もそうしました。
大学の学費
まず、わたしが払った金額です。1学期ぶんです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 申込料 | 600元 |
| 授業料 | 10,800元 |
| 保険料 | 400元 |
| 合計 | 11,800元 |
1元24円で計算すると、約28万3千円です(レートは2026年9月時点)。
「思ったより高い」と感じた方もいるかもしれません。大事なのはここからです。
授業がどれくらいあるか
| 授業時間 | 9:00〜12:15(3時間15分) |
| コマ数 | 1日4コマ、週20コマ |
| 期間 | 9月上旬〜12月下旬の約16週(平日80日) |
| 総授業時間 | 約260時間 |
28万3千円を260時間で割ります。
1時間あたり、約1,090円です。
ちなみに、これは控えめな計算です。わたしが通った年は1月10日ごろまで授業がありました。その場合は約290時間になるので、1時間あたり約970円まで下がります。
語学学校はいくらか
一方、語学学校は1時間120〜150元くらいが目安でした。円にすると2,880〜3,600円です。
だいたいチケット制で、まとめて買うと1回あたりが安くなる仕組みになっています。
同じ260時間を語学学校で受けるとしたら、こうなります。
| 1時間あたり | 260時間ぶん | |
|---|---|---|
| 大学(1学期目) | 約1,090円 | 約28万3千円 |
| 語学学校(120元/時) | 2,880円 | 約74万9千円 |
| 語学学校(150元/時) | 3,600円 | 約93万6千円 |
差は、約46万円でした。
続けるほど、安くなります
もうひとつ知っておくとよいことがあります。大学は、続けるほど授業料が下がります。
| 学期 | 授業料 |
|---|---|
| 第1学期 | 10,800元 |
| 第2学期 | 10,200元 |
| 第3学期 | 9,800元 |
| 第4学期以降 | 9,400元 |
さらに、在校生の紹介で申し込めば申込料が全額免除です。続けて学ぶ場合も、申込料は免除されました。
長く通う人ほど得をする設計になっている、というわけです。
ただし、語学学校が高いという話ではありません。
語学学校はマンツーマンが選べます。自分のペースで、自分の弱いところだけを教えてもらえます。 小さいお子さんがいて決まった時間に通えない方には、こちらのほうが合います。
単価が違うだけで、買っているものが違うのです。
だからお伝えしたいのは金額そのものではありません。「授業料 ÷ 授業時間」で並べて比べる、というやり方のほうです。これなら誰でもできます。
学費も相場も、国・都市・学校でまったく違います。この記事の数字はそのまま当てにせず、
ご自身の地域で2つ以上の見積もりを取って、同じように割り算してみてください。
入るのは、思ったより簡単でした
ここは、いちばんハードルを下げられる情報だと思います。
わたしは帯同ビザのまま、ネットで手続きしました。
留学ビザに切り替える必要はありませんでした。書類を揃えて大使館へ、ということもありません。
※国や大学によって扱いは違います。お住まいの国の大学のサイトで確かめてみてください。
大学には、語学力が定着する環境が整っていました
通ってみて分かったことがあります。続いた理由は、教える中身だけではありませんでした。
語学力が定着する環境が、しっかり整っていたからです。
- 週5日、毎日通う
- 毎日提出する課題がある
- 学期中に試験が3回(リスニング、読み書き、そしてスピーキング)
- 欠席と遅刻の回数がカウントされ、成績に反映される
アプリなら、忙しい日は飛ばせます。語学学校も、予約を取らなければそれまでです。
大学は、休んだら成績に響きます。
覚悟が要ったのは、年末年始でした
これは通ってみて分かったことです。
わたしが通った年は、1月10日ごろまで授業がありました。
つまり、こうなります。
- 大晦日も授業
- 休みは元旦だけ
- 1月2日から、また授業
子どもたちは冬休みなのに、母だけ毎朝出かけていきます。
こればかりは、正直きつかったです。日本の学校のカレンダーとは、まったく別に動いていると思っておいたほうがいいです。
ご家族の予定と重なる時期なので、申し込む前に学年暦を確認しておくことをおすすめします。
意志の力に頼らなくてよくなる、と言い換えてもいいかもしれません。
そして、その中で奨励賞をいただきました。
学生時代以来、あんなに一生懸命勉強したのは初めてでした。 40代で本気で勉強できたことは、それ自体がいい経験になりました。
いちばんの壁は、中国語ではなく英語でした
ここは、いちばん正直に書きます。わたしがつまずいたのは、中国語ではありませんでした。
わたしのクラスは9段階の下から3番目でした。つまり、みんなまだ中国語をうまく話せません。
ではクラスメイトと何語で話すか。英語です。
- 18〜19歳の学生から、中年世代まで
- 国籍もさまざま。タイと韓国の人が多く、日本人はクラスに2人だけ
- そしてどこの国の人も、英語が話せました
英語が苦手なわたしは、そこがしんどかったです。
流暢に話せない自分が、悔しかったです。
そう感じさせてしまったら、ごめんなさい。でも、知らずに行くよりはいいと思って書いています。
事前に分かっていれば、心の準備ができます。「中国語ができないから」ではなく「英語での雑談があるかもしれない」と思って行けるだけで、受け止め方が変わります。
それに、悔しいと思えたこと自体が、いまは悪くなかったと思っています。
学費では測れなかったもの
時間単価で選んだのに、返ってきたのはまったく別のものでした。
授業には、こういうものがありました。
- グループディスカッション
- グループでポスターを作って発表する
- 国ごとに分かれて、自分の国のお正月を紹介する
- 博物館に出かける校外学習
- バスで日帰りの研修(近郊の古い街へ行きました)
文化体験の授業は選択式で、書道、中国結び、料理などから選べます。わたしが選んだのは書道でした。
通常の授業でも、お正月の前には春联(しゅんれん)を書きます。赤い紙に縁起のいい言葉を書いて、玄関に貼るあれです。
大学は、言語の習得だけではなく、その国の文化ごと体験する場所でした。
いちばん楽しかったのは、学食でした
意外に思われるかもしれません。
授業が終わったあと、友達と学食に行く時間が、いちばん楽しかったです。
いろいろ話して、情報交換をして。ママ友とは、また違った時間でした。
駐在に来ると、人間関係はどうしても子どもを介したつながりに寄っていきます。それがいけないわけではありません。でも、そればかりになります。
大学は、国籍も年代も違う人と、対等な「学生」として関われる場所でした。
時間単価で選んだのに、いちばん価値があったのは、値段のつかないところでした。
帰国後に残ったもの:HSK4級と、いまの楽しみ
駐在は期限つきです。だから何が残るかで選びたい、という気持ちがありました。
課程が終わって4か月ほど後に、HSK4級に合格しました。
正直に書くと、その4か月ずっと勉強していたわけではありません。 途中に長い春休みもありました。空いた時間に、ちょこちょこやっただけです。
HSK4級は、こういう試験です(HSK日本事務局)。
| 対象 | 1200語程度の常用単語と文法 |
| 構成 | 聞き取り45題/読解40題/作文15題 |
| 配点 | 各100点・合計300点 |
| 合格 | 180点(6割)以上 |
大学に通う前は、遠い数字に見えていました。
いまの楽しみは、中国ドラマです
最近のお楽しみは、中国ドラマを見ることです。
「如懿伝〜紫禁城に散る宿命の王妃〜」と「瓔珞〜紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃〜」には、どハマりしました。
中国語で聞いて、日本語の字幕を読みます。 楽しみながら、そのまま勉強になります。
そして、ドラマの舞台になった紫禁城(故宮)に旅行で行ったときは、感動しました。
画面の中で見ていた場所に、自分が立っている。あの感覚は、勉強していなかったら味わえなかったと思います。
勉強が、暮らしの楽しみに変わりました。 これがいちばんの収穫かもしれません。
まとめ
3つにまとめます。
- アプリは入口としては優秀ですが、出口ではありません。 わたしは1550日続けていますが、それだけでは届かない場所がありました
- 金額だけでは比べられない価値がありました。 「授業料 ÷ 授業時間」で並べると、大学は1時間あたり約1,090円でした。でも実際に返ってきたのは、書道や春联、そして学食で過ごした時間のほうです
- 語学力が定着する環境があるかどうかで見てください。 毎日の課題も、試験も、通ってみればありがたい仕組みでした
まずやってほしいのは、近くの大学に語学コースがあるか調べて、「学費」と「授業時間」の2つだけメモすることです。
それだけで、いま検討している語学学校と並べて比べられます。わたしは帯同ビザのまま、ネットで申し込めました。
前の記事で「帯同する配偶者の収入はゼロになります」と書きました。この記事は、その裏側の話です。
→ 海外赴任が決まったら家計はどう変わる?1年かけて準備して、それでも忘れた1つのこと
収入が止まるぶん、この数年に何を残すかは、家計の話でもあると思っています。
駐在中の時間とお金の使い方、いっしょに考えませんか
「語学に何十万円もかけていいのか、判断がつかない」
「帯同で収入が止まったなかで、自分に使うお金をどう考えればいいか」
こういうことは、一般論では答えが出ません。ご家庭の数字と、残りの駐在期間を見ないと決められないからです。
わたしは同じ立場で駐在に帯同し、いま帰国と向き合っているFPです。お金の面からも、実際に通った経験からも、お話しできることがあると思います。
初回のご相談は5,000円です。お問い合わせの時点では費用はかかりません。記事の感想やご質問だけでも大丈夫です。
※本記事は2026年9月時点の情報をもとにしています。学費・料金・試験の内容は、国や学校、年度によって変わります。実際にご検討の際は、必ず各校の最新の募集要項をご確認ください。
※記載した金額は、わたしが実際に支払ったものと、当時調べた目安です。為替は1元24円で計算しています。本記事は情報提供を目的としたもので、特定の学校やサービスを勧めるものではありません。最終的な判断はご自身の責任でお願いします。
